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Shironetsu Blog

@shironetsuのブログ

燠火(後半)

 同類――私と同じくプレスされた人間?この世界についての有益な情報を得るためか、単に共感を求めるためか、危険の可能性を省みることなど忘れた私は一心不乱にコンタクトの手段をこの体の中から見つけるべく、再度まだ使っていない感覚を探った。まずはこちらが名乗って挨拶し、名前を教えもらおう。それまで彼のことは1号と呼ぶ。

 ここが真空であることには今やほとんど疑いを持っていない。音波はだめだ。では電磁波は?体を縁取る線に並ぶ点の中にクラゲの如く発光するものがあり、それが意思疎通に用いられるものなら受容器も備わっていなくてはならない。そしてその「言語」を解する能力が――たとえ人間の言語並かそれ以上に複雑なものであろうと――〈圧搾者〉は私の脳に必ずそれをインストールしているはずだ。自分の目指す姿に玩具の光るコマを想像した私はその滑稽さを感じながらも、あるともないとも知れない感覚を操ろうと必死になった。しかし一向に応答は見られない。1号は無視を決め込んでいるのか、眠っているのか、あるいは死んでいるのか。ここでふと彼がずっと動かないでいてくれるなら重力の「逆比例則」を検証することができることに気付いた。
CW解は4つの定数A、θ0、c0、c1によって
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とも表せるがこちらのほうが意味は明確だ。「太陽」からの平均軌道半径は、目標物体のそれをRとするとR+2c0で表せる。近ければ角度方向正の向きへ離れてゆき、遠ければ負の向きへ離れていく。しかし平均半径が等しければ円軌道をとる目標物体の周りを、公転と反対の向きへ縦横比1 : 2αの楕円状に周期2π/αωで回転することになる。公転周期はT=2π/ωであるから、その1/α倍だ。今もしk=2なら1/√2倍――すなわち1回の公転の間に目標物体の周りを約1.4回巡ることになる。目印は必ずしも円軌道でなくていい。平均距離さえ等しければお互いの位置関係は周期T/αで元に戻る。

 これを利用すれば1号を利用してαを測れる。まず彼に追いつき、「太陽」からの平均距離の等しい軌道に乗る。そして公転周期を測るため空に目印となる星を見つけ、1回公転する間の彼との上下関係の変化回数を測る。1回半弱であればその計測はk=2を支持する結果となる。

 問題は平均距離の等しい軌道に乗る方法、公転周期を同期させることだ。公転軌道の扁平率が1に近いほどそのずれの測定に及ぼす影響は大きくなる。動的な修正によって公転周期を彼と同期させることは可能だろうか?

 そんなふうに逆比例則の検証方法について考えてぼんやりとしていると、1号が突然動き出す気配を感じた――波だ。彼が眠りから覚め空間に波を立てたのだ。それは人間の器官だけを持っていたときには知らなかった感覚だった。存在に気付き襲い掛かってくることを警戒した私はすぐに動き出せるように身構えた。心臓があれば速くなった鼓動が聞こえるところだろう。

 緊張の瞬間はすぐに彼によって破られた。彼はゆっくりと斜め下方に向かって動き出した。私をおそれて逃げている?しかしここで見失ってしまうわけにはいかない。私は彼を追跡することにした。

 1号は私が経験したのより明らかに速い速度で降下していった。新参者にとってはなかなかのスリルを伴う体験だ。体感で――ここでは主観的時間以外の基準に意味はない――数分間の降下の後、星が瞬き始めていることに気付いた。太陽の最上部層を潜ったのだ。これが故郷の太陽; ソルで私が通常の有機物の体を持っていれば、とっくに焼け焦げるどころかプラズマと化して跡形もなくなっているところだ。だがこの体にはその心配は無さそうだった。私の懸念は別のところにあった。大気のある層に潜れば必然的に抵抗による減速を受ける。自ら体勢を立て直すことができなくなるほど減速してしまえばあとは落下するのみだ。この体でそんな事態を回避することができる高度を気付かないうちに下回ってしまうことはありえる。1号にこのままついていくことに不安を感じ始めたとき、ようやく彼が減速するのを感じた。

 そこには赤い霞がかかっていた。人間の色彩感覚の残滓を備えていた私には熱さを感じさせる風景だったが、実際には熱は感じていなかった。そもそも温感が無い可能性も無視できないが。その代わりに私が感じたのは原始的な衝動だった。1号がこの層に降りてきた理由もおそらく同じだ。このクラゲの肉体は栄養源としてこの赤い霞を摂取するようにできているのだ。この4回対称の体に口があるとすれば腕と腕の間か、そこにあるとなら消化器も袋状のものが4つずつか、分析的な目で理性を保てるふりをしながら私は特に味覚を刺激しない赤い霞が空腹感を満たしていくのを感じた。これではまるで、その世界の食べ物を口にした瞬間に元の世界との繋がりを断たれ、そこに囚われることになる古い物語の類型をおそれる子供のようではないか。自分がこのクラゲになりきってしまうことへの抵抗を忘れないようにしながら、私は霞の濃い方向へと絶え間なく移動を続けた。

 この層にやってきた目的を思い出したのは空腹感が満たされ、理性が主導権を取り戻した後だった。いつの間にか1号は視界から消え、周囲には一段と濃くなった赤い霞が拡がっていた。食後の倦怠感に包まれた私は、そこで追跡が失敗に終わったとみなすことに決めた。ここに食料があるなら同類にはまた出会えるだろう。

 訳も分からず口にした赤い霞で満ちたこの空間を改めて見回すと、今更ながらに気味の悪さを感じることになった。赤は何よりもまず血を思い出させる。アンタレスがサソリの心臓であるように、この太陽も心臓ならさしずめ私は臓器を蝕む寄生虫だ。

 ここで私は疑問を抱いた。アンタレスの表面にもこんな霞はかかっているのだろうか。多少太陽に近づいたとは言え、この層は明らかにまだまだ希薄な領域だ。「表面温度」を測るには多分まだ冷たすぎる。

 減速の恐怖から高度を維持しようと努めて漂っていると、しばらくの後にヒントは現れた。赤い綿だ。私の5分の1程度の大きさの扁平な楕円、ちょうど霞を固めて雲にしたような印象を抱かせる。それと同時に私が想像したのは植物プランクトンの群体だった。小さな粒子状の単細胞の藻が集まって形成する群体――赤色光が光合成色素の色なら。となると〈圧搾者〉が私に赤色を見せた理由についての仮説は一旦捨てねばならなくなる。この赤色が星の表面温度では無く植物の発する色であるなら、緑色を見せていればもっと早くに気付けたはずだ。

 プランクトンを食べる私のこの体はもしかするとクジラなのかもしれない。それとももう少し単純な軟体動物か。いずれにせよこの赤い藻類より複雑な体制を持っているのは確かだ。であれば植物の方ももっと高等なものがより下層、大気のいくらか濃い領域に繁茂しているに違いない。そして太陽の本当の表面も見ることができるだろう。私は再び降下を開始した。

 未開の地に足を踏み入れた博物学者の気分で「森」を目指す探検は、しかし「波」によって中断を余儀なくされることとなった。何かが迫ってくる。さっきと同じ同類ではない。本能はサイレンを鳴らし、私の感覚を鋭敏にさせた。本能的な恐怖――それは天敵、捕食者の接近を意味する。予想しておくべきことだった。ここがよほど原始的な生態系の発展途上にない限り、草食動物がいるなら当然肉食動物もいる。そして私のこの体は草食動物、被食者のもの。捕食者に狙われていることは警戒してしかるべきだ。

 公転方向前方下側! 「波」を捉える感覚が捕食者の接近方向を察知させた。姿の見えない捕食者は、その高度を上げれば角速度を減じて私とランデブーすることが出来る。そうなれば私の負け。しかし同時に私も高度を上げれば公転後方に後退して逃げることができる。

 それ以上軌道力学を検討する暇など無い。すぐに宇宙空間への上昇に転じた。逃げ切れることを祈ろう。
結局私はこの一心不乱の鬼ごっこに勝利することができた。おそらく最初にいたところと同じくらいの高度に戻ってきたのだろう。星は再び瞬きのない点となり、視界の半分以上が暗黒の天球に占められた。

 ジャングル探検をするにはまだ私は未熟すぎた。もう少しここで星を眺めていよう。星を睨みながら、公転前方と後方で星の色に変化は見られないか観察した。もし公転速度が光速に比べられる程度に大きければ前方は短波長側に、後方は長波長側にドップラー偏移を起こすだろう。しばらく待ったが変化は見られなかった。無論暖色灯のもとでも色の認識が変わらないように、わずかな波長の変化を脳が処理して補正している可能性もあるが、さしあたってここにある物体が亜光速に達しているとみなす必要はないだろう。

 この観察は相対論を考えるための第一歩だ。私の関心は太陽の照らすもとに縛り付けている重力だった。
重力を説明するのはアインシュタイン方程式だ。
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定数κは故郷の3+1次元宇宙でなら8πG/c^4と表されるだろう。しかし万有引力定数はいわば派生的な定数だ。ちょうど真空の透磁率とクーロン定数の関係のように。n+1次元時空ではκを定数にとるほうがいい。

 そう、弱場近似の仮定の下でアインシュタイン方程式に線形近似を施すと一般相対論の方程式は電磁気の方程式との類似で語りうるものになるのだ。ミンコフスキー時空からのずれが微小であるとするとは
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ととることである。エネルギー運動量テンソルとして完全流体のそれを取ると、「ローレンス条件」のもとでダランベール演算子□を用いて計量の方程式として
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が得られる。ρは各点の質量密度、vは質量の流れの速度で、完全流体の式に従う。そこでの質量m、速度Vの質点の運動方程式は測地線の方程式の近似として
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が得られる。実際には軌道はmに依存しない。ここで場に時間変化は無いという仮定を加えて次のように置き換えると電磁気との類似は明らかになる;
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いわば「重力の電磁ポテンシャル」と「重力の電磁場」、そして「重力のローレンツ力」だ。ここから「重力のスカラーポテンシャル」についてポアソン方程式を解くとニュートン万有引力の法則が導かれる――が、それは3+1次元以上の宇宙でしか通用しない。n=2では明らかに事情が異なる。式を見れば分かるように、(n-2)の因子が入っていることによって、静止した質量は「重力電場」を作り出せないのだ。「重力電場」の源としては質量の流れの速度の2乗に比例する項が支配的になる。
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 エネルギーと質量の等価性を考えれば自然なことだ。2+1次元宇宙では運動エネルギーが重力場を作る。

 違いはそれだけではない。静止質量が卓越しなくなることで、「重力磁場」も同程度の働きを担うことになる。普通の磁場は平行電流同士で引き合い、反平行なら反発する。アンペールの法則だ。しかし重力磁場は平行な質量の流れ同士で反発し、反平行で引き合う。ちょうど万有引力クーロン力で符号が逆転するように。

 私はここまで考えて赤い太陽を眺めた。ここに来たときと違い、今ではあの赤さが光合成色素によるものだと考えている。2+1次元宇宙版ヘルツシュプリング・ラッセル図にあてはめるのはしばらくやめておこう。もしかすると天球に分布する星々のあの色も星本来の色ではないのかもしれない。

 そんな奇妙な重力のもとで、あの太陽はまとまっていられるのだろうか?核融合を進行させる圧力は?しかし事実としてこの太陽は存在するのだ。そこを回る私や1号、捕食者も。

 重力を電磁場のアナロジーで語る前に、2次元電磁場についての理解を深めておかねば。視覚がある以上――偏執的に脳による再構築を疑わない限り――ほとんど間違いなく電磁波は存在する。

 では電磁場はどのような力を及ぼすか?基本はローレンツ力だが、場にかかる応力を電気力線のように捉えるためには先にも用いたマクスウェル応力テンソルを考えるのが便利だ。
行列形式で書くと、
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となる。ただし2行目でBはB12成分を表す。

 2次元において磁場の独立な成分はB唯一つしか存在しない。これを擬スカラーに対応――3次元において2階反対称テンソルの磁場を擬ベクトルに対応させるのと同じく空間の向き付けに依存――させると、それは「濃さ」としてイメージできるだろう。中性が灰色なら、正は白色に、負は黒色とすればよい。同符号なら強め合って色は濃くなり、異符号なら弱めあって灰色に近づく。平面内に磁場のグラデーションができることになる。便利な見方だ。

 注意を引いたのは磁場の応力テンソルだった。この形は等方的な応力、圧力のそれだ。符号を考えるとBの「濃い」ところほど―白黒どちらでも――圧力が強くなることを意味する。

 磁場のおよぼす力は3次元では磁力線を持つ弾性体のアナロジーで捉えられてきた。ここ2次元では弾性体が完全流体に置き換わるということだ。圧力B^2/2μ0の流体――磁場を作るものは磁場の中を「浮き沈み」する。

 そのイメージが閃きをもたらした。磁場の白黒は電流の左回り・右回りに対応するだろう。ならば磁場に関して環状電流はモノポールのように振舞うはずだ。そしてその相互作用は圧力の考え方を使うと、まさしく異符号――右回りと左回り――同士で引き合い、同符号同士で反発することになる!というのも、異符号同士だとその間にできる磁場は弱められ、圧力も小さくなり、「浮力」が働くからだ。同符号同士ではその逆のことが起こる。

 気分転換に太陽の方へと近づいてみたり、遠ざかったりしてみた。私はこれを飛行として捉えていた。しかしもし磁場の中を浮き沈みしているのなら泳ぎにたとえるほうが近いかもしれない。太陽が磁場をもっているなら、体の中の電流の向きを変えることで浮き沈みすることが可能になる。

 仮説を立てたなら計算しよう。円電流同士の相互作用を求めるため、今度は電磁ポテンシャルで電磁場の方程式から始める。
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時間変化が無いと仮定して磁場についてのみ考える。原点から遠方で十分早く減衰する境界条件の下でポアソン方程式を解くと
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から多重極展開が得られる。「点磁荷」が存在しないことや多重極子の対称性から、高次の項を無視すると
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Mが磁気双極子モーメント、Tが磁気四極子モーメントを意味する。
双極子モーメントの作る磁場を考えよう。B12成分のみを考えればよいから、
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――不意をつかれた。ゼロだ。磁気双極子モーメントは2次元では磁場を作らないということだ。

 3次元においては磁石の源は(少なくとも古典論的には)微小な環電流の作る磁気双極子モーメントとして説明される。いわば磁場の源の最小単位だ。私がこの世界に来る前に高次元の磁場の源として計算したのも磁気双極子で、確かに磁場は形成されていた。その磁気双極子が、2次元でも存在するのに磁場に寄与しないのだ。

 では四極子を計算しよう。四極子は各成分が先の関係式によって結ばれているため、独立成分は2つしか存在せず、
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と表せる。これならどうか?さっきよりいくらか複雑な計算の結果はまたもゼロだった。この時点で私は悟った。おそらく2次元空間で閉じた定常電流は遠方に磁場を作らない。

 私は悩んだ。ヒントは素朴にアンペールの法則を思い出すことで得られた。磁場と電流の関係は
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となるのだった。これはナブラを使った表記では
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を意味する。この式の意味するところは、「擬スカラー」Bの勾配が電流をπ/2回転した方向を向くということだ!となるとそのイメージは簡単だ。円形に正の向きに電流が流れる回路を考えよう。電流をπ/2回転させると全て中心を向く。「デルタ関数的」な勾配を考えると、そこにできる磁場は回路に囲まれ3次元方向に張り出した円柱として想像できるだろう。内側、外側でそれぞれ一定値をとることになるのだ。そして自然に考えると外側でその値はゼロになる。私はここでソレノイドコイルのつくる磁場を思い出した。無限に長いソレノイドコイルは内外それぞれに均一な磁場を作る。ここ2次元世界では均一な磁場はもっとありふれたものになる。先の磁場の濃さの考え方を使うと、回路内部で均一な白色または黒色で、外部は中性の灰色になる。これをグラデーションとは呼べない。ある意味で回路がモノポールになるという見方は正しかった。しかしそれは内部にしか磁場をもたないものだった。

 ここまでくればマクスウェル方程式全体をより直感的な形に書き換えてしまおう。π/2回転の行列をKで表すと、
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が電磁場の方程式となり、ローレンツ力は
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になる。

 私は途方に暮れた。磁気双極子同士の相互作用として太陽への浮沈を説明できると考えていたが、それは間違いだった。太陽と私以外を真空と考える以上、磁場は力を与えない。

 では何を仮定すればいいのだろう。実はここを真空をみなすのは間違っている?あるいは輻射圧はこの体を浮き沈みさせる程度に大きい?それとも全く別の力?

 もっと考えるための材料が要る。私はここに来てもっとも単純な可能性としてのいくつかの物理法則を仮定して考えることを試しているに過ぎない。

 何から手をつけようかと思案しているときだった。捕食者はこの高度にもいたのだ――後方上側から「波」がくるのを感じた。下側に逃げるほか無い。2度目の逃走の中、私は重力について考えた。この重力が計量によるものであることを支持する現象は未だ見ていない。しかし星の様子はあまりにも太陽に似ている。場が2つのマクスウェル方程式を持つことを禁じる法則はあるのだろうか?もし無ければ、重力質量とそれについてのマクスウェル方程式を考えてみるほうが、運動エネルギーが重力源となると考えるよりも、私を太陽の方向へ引っ張り太陽自身をまとめる力の可能性としては単純かもしれない。

 捕食者から逃げる中でそんなことを考える余裕を持つためには、彼らについて私は無知すぎた。私の目が捉えたのは、先の割れた楔形をした赤い斑――というか破線――の物体だった。表面の艶は甲虫のそれを思わせる。彼らは狼のように群れを成して狩りをするための連携をとれる賢さがあったのだ。まんまと罠に追い込まれた被食者は、その裂けた楔形の顎に捕らえられ、身を潜めていた他の仲間が3,4と集まってくるのをもがきながら眺めた。

 やるべきことはまだある、と言うよりまだ何もやっていない。〈圧搾者〉の目的が何であれ、わざわざ呼び寄せた以上むざむざとここで殺してしまいはしないだろう。私は意識が途切れ途切れになってゆく中で次に期待した。



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(この短いSF(?)中で語り手が一人考えることは、2+1次元宇宙の電磁場についての考察に基づいている。2次元、「フラットランド」の電磁場である。作中いきなり出てくる2次元マクスウェル方程式の妥当性については、一般次元(n+1次元時空)電磁場についての考察そのものを扱った「作業仮説」
「作業仮説」というSFもどきを書いた - Shironetsu Blog
を読んでほしい。)

(内容に疑わしい点も多い。指摘、感想等あればコメントでください。)