一般次元のマクスウェル方程式と重力のこと
n+1次元マクスウェル方程式
「作業仮説」の中でフルルッデに重力理論としてのマクスウェル方程式を導かせた。
shironetsu.hatenadiary.com
しかし、
などそのまま使うには不便なことも多いため改めて簡単にまとめた。
n_dimensional_maxwell.pdf(n_dimensional_maxwell.pdf) ダウンロード | 自由研究のアップローダー | uploader.jp
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不安な点としては波動方程式の問題がある。
電磁ポテンシャルと電流電荷密度の関係を共変微分で書いたときに現れるリッチテンソルは局所ローレンツ系で打ち消せる。というのも、偏微分で書いたとき計量の2階以上の微分は出てこないから(正直こっちもあやふやなのだが)。
しかし電磁場の波動方程式を導くとき計量の2階微分が出てきてしまう気がする。電磁波といえば、等価原理の思考実験で使われるものでもあるしその効果は消えてくれたほうがいい気がするのだけれどよく分からない。
とりあえずミンコフスキー空間(ローレンツ計量の入った平坦な時空)に関しては問題が無いのでこれを使ってフラットランドのことなども考えたい。
重力のこと
『白熱光』の面白さの一つに、普通の天体観測を経験せずに重力の法則を見つけなくてはならないことがある。
人間の歴史では、有史以来脈々と続いてきた天体観測技術が実らせた一つの成果として、ケプラーの三法則を通してニュートンによる万有引力の法則の発見が位置づけられる*1
空間次元が4以上の宇宙の人々にとっての重力の問題の難しさは、まず、2つの天体が重力的に安定した軌道を持つことができないため、惑星が恒星の周りを公転することができず、したがって他の惑星という重力の発見にとって重要な観測対象が存在しないことにある。
しかしそれは薄い大気の層を持つ天体の地表に住む人々にとっての話で、厚く不透過の気体液体層の下で泳ぐ人々や穴居人は星を知ることすらない。それどころか、物体が抵抗無く落ちることがないうえ、常に浮力を受けるため落体の法則すら見つけることには苦労するはず。
エトベシュの実験はおろか、ピサの斜塔での実験すらできないような環境で等価原理は自明視できない。そこに住む人々が慣性質量と重力質量を別の概念に分けることの正当性はそれなりに強くなるはずで、そうなると重力理論に対してマクスウェルの方程式を立てることの問題点はどこにあるか?という疑問を「作業仮説」には含めたつもり。一応負のエネルギー密度が出てくることが一つの困難にはなるようだが……。
重力の理論に対して等価原理以外の理由でマクスウェルの方程式が諦められた歴史的経緯についてちゃんと調べなくてはならないらしい。