Shironetsu Blog

@shironetsuのブログ

物理・数学

「トライアリティー」(八元数SF)

探索は目録に掲載される限りの結晶試料に対して今も続けられている。網羅的な測定を続ける忍耐、有望な兆候を見逃さない観察眼、そして発見には必須の幸運により見出された最初のいくつかの4準位コヒーレント光源は、可視域を大きく外れた遠紫外線――パルス速…

4次実Clifford代数, Spin(5,1), Spin(3,3)

Trichronauts... Clifford代数 Clifford代数から始める.は異なる)は次元の実線形空間の基底を成しており, その線形結合は和と積について閉じている. なお,本記事中, ラテン文字a,b,c...の添え字は1から4までとする. そのうちを次のように定義する.に注意. に…

5+1次元Dirac方程式 - Spin(5,1)とSL(2,H)の同型から

「じゅうぶんなレプトンが原子核内部にしっかりととどめられるようなエネルギー・レベルはすべて埋められ、最外部のレプトンが、原子核間にそれなりの距離を残したままふたつの原子を結合させられる分だけ突き出す。最初のふたつのレベルは完全に埋めなくて…

6+0次元Dirac方程式 - Spin(6)とSU(4)の同型から

~あらすじ~ 実験的に発見された光学固体のエネルギー準位の分裂から〈四の法則〉を導いた物理学者カルラ*たち. 彼女たちの課題は輝素の排他性とこの事実を両立させる説明を見つけ出すことだった. 最も単純な〈一の法則〉ではないのはなぜか? 輝素の"偏極"…

へんなDirac方程式

前の記事点付き・点なし - Shironetsu Blogノーテーション等はこの記事を踏襲.前回, 2×2行列同士の関係式として表されたDirac方程式として (……式(1))を得た. 再度書いておくと, 右肩にを付けて表す「ダブルダガー共役」は, GL(2,C)の元に対して「余因子行列…

点付き・点なし

以前の記事はこちら. (1)4+0次元スピノル 『エターナル・フレイム』-ベクトル-レフトル-ライトル - Shironetsu Blog (2)2+2次元スピノル 2+2次元Dirac方程式―Dichronautsをよみはじめた - Shironetsu Blog 我々の宇宙のDirac方程式もグレッグ・イーガン『エ…

非相対論的2+2次元水素原子 - Dichronautsをよんだ

いきなりタイトルに関係ない話だが, Hot Rock(Oceanic所収)を読んだ. 『白熱光』Incandescence, 「グローリー」Glory, 「鰐乗り」Riding the Crocodileと, Amalgam/Aloof〈融合世界/孤高世界〉の世界観を共有する唯一未訳の, そして発表順では最後の短編. こ…

2+2次元Dirac方程式と確率解釈 ― Dichronautsよんでる

グレッグ・イーガンのDichronautsをよんでいます. やっとあらすじにある暗黒断崖が出てきた. ElenaとIrinaの間の軋轢, Sleepwalkerの騒ぎなどからSider-Walker間の必ずしもうまくいくとは限らない緊張をはらんだ関係が最初のほうで既に明かされていたが, Tha…

2+2次元Dirac方程式―Dichronautsをよみはじめた

グレッグ・イーガン『白熱光』がハヤカワ文庫SFから出版されましたね. もちろん入手したものの既に読んでいた作品だったようだ. そういうわけで今年3月末に電子書籍先行で出版された最新長編Dichronautsを読み始めた. Kindle本棚に並べたのは発売日だったの…