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2+2次元Dirac方程式―Dichronautsをよみはじめた

 グレッグ・イーガン『白熱光』がハヤカワ文庫SFから出版されましたね. もちろん入手したものの既に読んでいた作品だったようだ. そういうわけで今年3月末に電子書籍先行で出版された最新長編Dichronautsを読み始めた. Kindle本棚に並べたのは発売日だったのに積んでいたのだ. 罪深い.

Dichronauts (English Edition)

Dichronauts (English Edition)

 あらすじを読むとハードSF版『逆転世界』ではないかと疑われる本作, まだほんの序盤しか読んでいないが楽しさと同時に, 正気が奪われそうになるのを感じる. (つい最近も『アロウズ・オブ・タイム』の惑星エシリオでそんなことを言っていた気がするが)数学的な設定が簡単かつ映る風景の根幹をなしているなだけに常に悩まされ続けるのだ.

 舞台は2+2次元の宇宙, つまりdiag(+,+,-,-)の計量をもつ宇宙. そのうちの3次元; 世界線に直交する部分空間が同時刻の「空間」として認識されている. そして登場人物たちの暮らす「世界」は一葉双曲面の上に広がる地表. ある意味ここで『逆転世界』とつながる――が, 住人たちの認識はおそらくまったく異なる. 双曲面の広がりは(理想的には)無限だが, 普通のユークリッド空間の球に相当する曲面になるため. すなわち「回転」に対して不変な図形になっている.

 主人公SethとTheoは共生関係にある知的生命. この世界では, 歩行を担当する"Walker"の頭蓋の中で"Sider"が血液の供給を受けながら生きており, どちらもともに人類相当の知能を備えていて"inspeak"(「内話」?)によって二者だけの会話ができるようになっている. SethがWalkerでTheoがSider. Siderの役割はWalkerからは見ることのできない領域の内部――"dark cone"――に何があるかを教えることにある.

 2つの「普通の」空間次元と1つの時間的な次元から成るこの3次元空間, 地表に立つと上下と東西方向; Siderにとっての前後が「普通の」空間次元で, 「軸」と称される南北方向が時間的次元になっている. ここで単純な数学的関係から, ヌル測地線を辿る光*1は「軸」の周りの円錐の内部"dark cone"(「暗黒円錐」?)からは届かないことが分かる. つまり南北方向は電磁波で知覚できない. Walkerにとってのこの困難を解決するのが上で既に触れたSiderの役割ということになる*2.

 ……といったことはイーガン自身が簡潔に解説しているが一応ここまでの理解をまとめておきたかった.

www.gregegan.net

 さてこのDichronauts, Orthogonalを再びやるわけではないらしい(単語検索するとたとえば"equation"はほとんど出てこない――が読み切っていないので何が起こるのかまだ知らない). イーガンのDichronauts解説ページ内にも重力ポテンシャル論以外には数式のある物理的考察はほとんど公開されていない.

 しかし気になってしまうのがSO(2,2)バージョンのDirac方程式. 『エターナル・フレイム』第33章をやりたい, また「幾何学をたどっていくとすべてがうまくおさまるんですね」って言いたい. やろう.



回転

 イーガンに倣ってtで時間, x,yで通常の空間次元, uで時間様の「軸」方向空間次元を表すことにする.

 次の実2次正方行列を考える.

{
X=\left(
\begin{array}{cc}
t+y & x-u \\
x+u & t-y
\end{array}
\right)
}

行列式

{
\det(X)=t^2+u^2-x^2-y^2
}

となることに注意. 実2次特殊線形群SL(2,R); 行列式が1の実2次正方行列が積についてなす群の任意の2つの元を

{
D_L,\ D_R\in SL(2,\mathbb{R})
}

で表すと, 次の変換 X→X' は (t,u,x,y)→(t',u',x',y') の一次変換を定義する.

{
X'=\left(
\begin{array}{cc}
t'+y' & x'-u' \\
x'+u' & t'-y'
\end{array}
\right)=D_LX\tilde{D}_R
}

ただしチルダ~は余因子行列を意味している. いまの場合{D_R}行列式=1なので単に逆行列に等しい.

{
A=\left(\begin{array}{cc}
a & b \\
c & d
\end{array}\right)
\rightarrow
\tilde{A}=\left(\begin{array}{cc}
d & -b \\
 -c & a
\end{array}\right)
}

この変換において行列式は不変である. すなわち,

{
\det(X')=\det(D_L)\det(X)\det(\tilde{D}_R)=\det(X)
}

を満たしている. ゆえにこの一次変換は(t,u,x,y)に対してSO(2,2)の元として作用している. 詳しく調べるとSO(2,2)の元とSL(2,R)×SL(2,R)の元は1対2に対応している. このことはSL(2,R)×SL(2,R)の中心正規部分群N={(1,1),(-1,-1)}によって

{
SO(2,2)\cong SL(2,\mathbb{R})\times SL(2,\mathbb{R})/N
}

と表せる*3.

 この関係が重要で, 『エターナル・フレイム』ではSO(4)とSU(2)×SU(2)間の準同型, SU(2)と単位四元数群の間の同型から輝素波の方程式が導かれたのだった. SO(3,1)はSL(2,C)が不変被覆群となるため点付きスピノル・点なしスピノルなどを導入して多少煩雑になるが*4,SO(2,2)ではパトリジアたちと同様の手順で共変性を持ったスピノルの方程式が導かれる.

 実2次正方行列は4次元実ベクトル空間をなす. その基底を次のようにとる.

{
e^t=\left(\begin{array}{cc}
1 & 0 \\
0 & 1
\end{array}\right),\ \ \ 
e^u=\left(\begin{array}{cc}
0 & -1 \\
1 & 0
\end{array}\right),\ \ \ 
e^x=\left(\begin{array}{cc}
0 & 1 \\
1 & 0
\end{array}\right),\ \ \ 
e^y=\left(\begin{array}{cc}
1 & 0 \\
0 & -1
\end{array}\right),\ \ \ 
}

これを使うと,

{
X=X_\mu e^\mu\ \ \ (\mu=t,u,x,y)
}

と表せる. 2+2計量を改めて

{
g_{\mu\nu}dx^\mu dx^\nu=dt^2+du^2-dx^2-dy^2
}

ととる. ただし光速度はc=1にとっている*5. 実2次正方行列の(不定値)内積を〈X,Y〉で表して

{
\langle X,Y\rangle=\frac{1}{2}{\rm Tr}(\tilde{X}Y)
}

で定義すると次の関係が成り立つことが確かめられる.

{
\langle X,Y\rangle=\langle Y,X\rangle=g^{\mu\nu}X_\mu Y_\nu
}

すなわち,

{
{\rm Tr}(\tilde{e^\mu}e^\nu)=2g^{\mu\nu}
}

これは次の関係からも導かれる.

{
\tilde{e}^{\mu}e^{\nu}+\tilde{e}^{\nu}e^{\mu}=2g^{\mu\nu}{\bf 1}_2
}

 だいたいここまでがカルラが胸にベクトル乗法を描書した部分に対応する. といっても基底間の積すべてを表にする必要はないだろう. {e^t}だけがその余因子行列と一致し, 他の3つは符号が反転することに注意.



ベクトル, レフトル, ライトル

 座標変換に従ってベクトルの共変ベクトル成分*6

{
X \rightarrow X'=D_LX\tilde{D}_R\ \ \ D_L,D_R\in SL(2,\mathbb{R})
}

と変換するとき, 次のように変換する2つの量を定義する.

{
\psi_L \rightarrow \psi_L' = D_L\psi_L,\ \ \ \psi_R \rightarrow \psi_R' = D_R\psi_R
}

パトリジアに倣って{\psi_L}をレフトル, {\psi_R}をライトルと呼ぼう. これらの量は回転と独立に右から行列を掛けることができる(位相に対応する). 次の形のベクトルとの積をとると, ライトルがレフトルへ, レフトルがライトルへと互いに変換される.

{
\begin{align}
X\psi_R \rightarrow X'\psi_R = D_LX\tilde{D}_RD_R\psi_R = D_L(X\psi_R) \\
\tilde{X}\psi_L \rightarrow \tilde{X}'\psi_L = D_R\tilde{X}\tilde{D}_LD_L\psi_L = D_R(\tilde{X}\psi_L)
\end{align}
}

次の微分演算子は共変ベクトルとして変換される.

{
\partial=\partial_\mu e^{\mu}
}

また,

{
\tilde{\partial}\partial=\partial\tilde{\partial}=g^{\mu\nu}\partial_{\mu}\partial_{\nu}{\bf 1}_2
}

が成り立つ. レフトル・ライトル各成分がKlein-Goldon方程式にあたる方程式

{
(g^{\mu\nu}\partial_{\mu}\partial_{\nu} +m^2)\psi_R=(g^{\mu\nu}\partial_{\mu}\partial_{\nu} +m^2)\psi_L=0
}

に従うための一次の連立方程式は, 質量をmとして

{
\begin{align}
\partial\psi_R e^u&=m\psi_L\\
\tilde{\partial}\psi_L e^u&=m\psi_R
\end{align}
}

をとればよい*7. これが2+2次元における自由場のDirac方程式である. この式から, {\psi_L}が左巻きスピノル, {\psi_R}が右巻きスピノルに対応することが分かる*8.

 ちょっと面白いのは実数成分の行列のみで書けていること(それを言えばどんな虚数でも2×2行列に置き換えられるが). 何か意味はあるだろうか.

 上の2式を次のように変形する.

{
\begin{gather}
\partial_{\mu} e^{\mu} \psi_{R}=-m\psi_Le^u\ \ \ 
\partial_{\mu} \tilde{e}^{\mu} \psi_L=-m\psi_Re^u\\
(\partial_{\mu} \tilde{\psi}_{R}\tilde{e^{\mu}})\psi_L=(me^u\tilde{\psi}_{L})\psi_L\ \ \ 
\tilde{\psi}_{R}\partial_{\mu} \tilde{e}^{\mu} \psi_L=-m\tilde{\psi}_{R}\psi_Re^u \\
\frac{1}{2}\partial_{\mu}{\rm Tr}(\tilde{e}^{\mu}\psi_{L}\tilde{\psi}_{R})=0 \\
\therefore \partial_\mu (\psi_{L}\tilde{\psi}_{R})^\mu = 0
\end{gather}
}

{\psi_L\tilde{\psi}_R}の成分は共変ベクトルとして変換する*9. したがってこの式はカレントの保存則を示している. ただし3+1次元のそれと違って時間成分が正値にならない. 実は同様の問題は4+0次元, Orthogonal宇宙でも発生していた.

 歴史的経緯について詳しいところはほとんど知らないのだが, Dirac方程式はKlein-Gordon方程式で問題になった負の確率密度を解消した点に強みがあったはず. 結局確立解釈は使わなくなるとはいえ, これはどう解釈するべきか.

 考えてみれば4+0と2+2で時間成分の正値性が保証されないのは当然で, 座標変換でベクトルの時間成分を正負に振ることができるからである. 一方3+1次元では正値をとっている時間成分を負にするには光円錐を超えてspace-likeな領域を超える必要があるため不可能. これは連続変換で反粒子と粒子が入れ替わらないことも内含する……はず. この問題は変換群の連結性に関わるはずだが, 不勉強にして数学的に正確に述べるための言葉を持っていない.

 思い出してみると, <孤絶>乗員たちが直交クラスターの星に追いついて「ネレオの矢」をそれらと揃え, そのうえ着陸することさえ可能だったのも反物質が物質へと連続的に変換できるためだった. Dichronauts宇宙でも似たようなことが可能ということになるはずだが……それはどういう意味になるのだろう?

 ちょっとこのあたりの議論はあやふや. QFTをちゃんとやってからまたいずれ……. ラグランジアンもこの行列形式で書けるのだが, 相互作用なども含めまた今度.



ガンマ行列

 ガンマ行列を用いた見慣れた表示との対応関係を調べる.

2+2次元
 レフトルまたはライトル{\psi}を次の2成分複素ベクトルと同一視する. なお行列形式との区別のため上矢印を付ける.

{
\psi=\psi_t e^t+\psi_u e^u +\psi_x e^x + \psi_y e^y
\ \leftrightarrow\ 
\left(\begin{array}{c}
\psi_t+\psi_{u} i\\
\psi_x+\psi_{y} i
\end{array}\right)\equiv\vec{\psi}
}

iは虚数単位. 成分を丹念に計算すると, 左から{e^u}を掛ける操作, 右から{e^\mu (\mu=t,u,x,y)}を掛ける操作はそれぞれ次の対応関係を持つことが分かる.

{
\begin{gather}
\psi e^u\ \leftrightarrow\ i\vec{\psi},\\
e^t\psi \ \leftrightarrow\ {\bf 1}_2\vec{\psi},\ \ \ 
e^u\psi \ \leftrightarrow\ i\sigma_3\vec{\psi},\\
e^x\psi \ \leftrightarrow\ \sigma_1\vec{\psi},\ \ \ 
e^y\psi \ \leftrightarrow\ \sigma_2\vec{\psi}
\end{gather}
}

ただしσはPauli行列

{
\sigma_1=\left(\begin{array}{cc}
0 & 1 \\
1 & 0
\end{array}\right),\ \ \ 
\sigma_2=\left(\begin{array}{cc}
0 & -i \\
i & 0
\end{array}\right),\ \ \ 
\sigma_3=\left(\begin{array}{cc}
1 & 0 \\
0 & -1
\end{array}\right)
}

これらの関係から, Dirac方程式を4成分複素ベクトル形式に書き換えられる.

{
(i\partial_\mu\gamma^\mu-m)\varPsi=0
}

ただし,

{
\varPsi=\left(\begin{array}{c}
\vec{\psi_L}\\
\vec{\psi_R}
\end{array}\right)
=\left(\begin{array}{c}
\varPsi_1\\
\varPsi_2\\
\varPsi_3\\
\varPsi_4
\end{array}\right)
,\ \ \ \varPsi_i \in \mathbb{C}\ \ \ (i=1,2,3,4)
}

ガンマ行列は次のようになっている.

{
\gamma^t=\sigma_1\otimes{\bf 1}_2,\ \ \ \gamma^u=(i\sigma_2)\otimes(i\sigma_3),\ \ \ 
\gamma^x=(i\sigma_2)\otimes\sigma_1,\ \ \ \gamma^y=(i\sigma_2)\otimes\sigma_2
}

これらはClifford代数の関係式を満たしている.

{
\{\gamma^\mu,\gamma^\nu\}=\gamma^\mu\gamma^\nu+\gamma^\nu\gamma^\mu=2g^{\mu\nu}{\bf 1}_4
}

これはまさしく見慣れた形のDirac方程式で, 特にいまカイラル表現(Weil表現)をとっている.

 これらガンマ行列のHermite共役は,

{
\gamma^{t\dagger}=\gamma^{t},\ \ \ \gamma^{u\dagger}=\gamma^{u},\ \ \ 
\gamma^{x\dagger}=-\gamma^{x},\ \ \ \gamma^{y\dagger}=-\gamma^{y}
}

と時間次元についてHermite, 空間次元について反Hermiteとなっている. そのため, 随伴スピノルは

{
\overline{\varPsi}=\varPsi^{\dagger}\eta
}

をとることになる. ただしηは次で定義される.

{
\eta=i\gamma^x\gamma^y,\ \ \ \eta^\dagger=\eta
}

カイラル表現では

{
\eta = {\bf 1}_2\otimes\sigma_3
}

これを使うと, カレントの時間成分は

{
\overline{\varPsi}\gamma^t\varPsi=(\varPsi_1^*\varPsi_3+\varPsi_3^*\varPsi_1)-
(\varPsi_2^*\varPsi_4+\varPsi_4^*\varPsi_2)
}

と再び正負の値をとることが分かる.

ついでに4+0と3+1のカイラル表現も見ておこう.


4+0次元

{
\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\}=\delta^{\mu\nu}
}

これを満たすのは,

{
\gamma^t=\sigma_1\otimes{\bf 1}_2,\ \ \ \gamma^x=\sigma_2\otimes\sigma_1,\ \ \ \gamma^y=\sigma_2\otimes\sigma_2,\ \ \ \gamma^x=\sigma_2\otimes\sigma_3,\ \ \ 
}

これらはすべてHermiteで, 随伴スピノルは単にHermite共役. カレントの時間成分は

{
\overline{\varPsi}\gamma^t\varPsi
=\vec{\psi}_L^\dagger\vec{\psi}_R+\vec{\psi}_R^\dagger\vec{\psi}_L
}

となって正負の値をとる.


3+1次元

{
\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\}=\eta^{\mu\nu}(={\rm diag}(+,-,-,-))
}

これを満たすのは,

{
\gamma^t=\sigma_1\otimes{\bf 1}_2,\ \ \ \gamma^x=\sigma_2\otimes(i\sigma_1),\ \ \ \gamma^y=\sigma_2\otimes(i\sigma_2),\ \ \ \gamma^x=\sigma_2\otimes(i\sigma_3),\ \ \ 
}

{\gamma^t}のみHermiteで, 他3つが反Hermite. 随伴スピノルは

{
\overline{\varPsi}=\varPsi^\dagger\gamma^t
}

で, カレントの時間成分は

{
\overline{\varPsi}\gamma^t\varPsi
=|\vec{\psi}_L|^2+|\vec{\psi}_R|^2
}

と正定符号をとる.



まとめ

 直交群SO(2,2)が実2次特殊線形群SL(2,R)ふたつの直積からの準同型写像を持つことを利用して2+2次元のDirac方程式を導いた. 『エターナル・フレイム』33章でカルラ, パトリジア, ロモロたちがSO(4)共変のDirac方程式, 「輝素波」の「回転物理学」に適合した方程式を発見する際に取ったのと同様のアプローチである. 特にこの方法では自然にカイラリティーが現れる.

 カレントの時間成分, 「確率密度」の正値性の有無は粒子-反粒子間の連続変換の有無とおそらく関わっておりいずれきちんとやりたい. 他の次元との比較も.

 意外にきれいにまとまった. しかし物理的な考察がほとんど無い. ディラック表現から「非相対論近似」をすることも可能だがそこから特に言えることがあるわけでもない. 2+2次元世界は想像するのがまだまだ難しすぎる. おとなしく読み進めます.

*1:ということはOrthogonal宇宙と違ってフォトンはゼロ質量なのだろう, たぶん.

*2:反響定位で空間を把握しているという解釈でいいのだろうか…「音」の伝わり方が理解できていない

*3:とくに使わない事実として,{D_L=D_R}なら{t=t'}になる. これはトレースをとることで直ちに確かめられる.このことからSL(2,R)とSO(1,2)が準同型であることが分かる.

*4:やや怪しい発言である

*5:速度とは何か……。ニュートン力学の段階から既にこの問題で困る.

*6:紛らわしいが, 原点まわりの回転という座標変換のような表式で導入したのに対して便宜のためこちらは共変ベクトル成分の変換としている

*7:左辺に{e^u}を右からかけているが, 掛けて-1になる2つの行列を各辺にかけても等価な方程式が得られる. {e^u}を選んだことは基底の取り方を規定しており, またパリティ変換がレフトルとライトルとの単に入れ替えになるといったメリットがある.

*8:『エターナル・フレイム』p.332でカルラがパリティ対称性に言及していることに今更気付いた.「でも、わたしがもっと気になっているのは、回転の左側ベクトルを右側ベクトルとは違う形で扱っていること。このふたつのベクトルの役割を入れ替えるには、単に系を鏡に映して見ればいい。鏡に映したら、物理が違って見えるべき? そのような証拠をいままで見たことってある?」 彼らの宇宙でパリティ対称性の破れは発見されるだろうか.

*9:上で左から{e^u}をかける以外の方法について述べたが, その場合レフトルとライトルの間に適当な行列を挟む必要がある