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PSL(2,7)指標表手作り体験記(1) 3,3,8次元既約表現

イントロ:ある行列と群

問題:次の形の行列{A}が2乗すると単位行列になるための条件は何か?
\begin{align}
A =
\begin{pmatrix}
\lambda & \nu & \mu\\
\nu & \mu & \lambda\\
\mu & \lambda & \nu
\end{pmatrix} \in SL(3,\mathbb{C})
\end{align}

答え:実際に2乗すると,
\begin{gather}
A^2 =
\begin{pmatrix}
p & q & q\\
q & p & q\\
q & q & p
\end{pmatrix},\\
p = \lambda^2 + \mu^2 +\nu^2,\ q = \lambda\mu + \mu \nu + \nu\lambda,
\end{gather}また,
\begin{align}
\det(A) = 3\lambda \mu \nu-\lambda^3-\mu^3-\nu^3 = (\lambda+\mu+\nu)(q-p)
\end{align}
から, \(\lambda +\mu + \nu=-1,\ \lambda\mu+\mu\nu+\nu\lambda=0\)であればよい.\(\lambda \mu\nu=r\)とすると,これは\(\lambda,\mu,\nu\)が
\begin{align}
t^3+t^2-r=0
\end{align}
の根となることと同値. (終)

 \(r=0\)の場合は簡単.\(t=0,0,-1\)である. そして,
\begin{align}
(34)\mapsto \begin{pmatrix}
-1&0&0\\
0&0&-1\\
0&-1&0
\end{pmatrix},\
(234)\mapsto \begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&1\\
1&0&0
\end{pmatrix},\
(13)(24)\mapsto \begin{pmatrix}
-1&0&0\\
0&-1&0\\
0&0&1
\end{pmatrix}
\end{align}
によって4次対称群の3次元既約表現, 正8面体群が生成される.

 さらに\(r = 1/8\)の場合もよく知っている. \(t=1,-\phi/2, \phi^{-1}/2\). ただし,\(\phi\)は\(s^2-s-1=0\)の正根で,
\begin{align}
\phi &= \frac{1+\sqrt{5}}{2} = 2\cos\frac{\pi}{5}\\
\phi^{-1} &= \frac{-1+\sqrt{5}}{2} = 2\cos\frac{2\pi}{5}.
\end{align}
これを使うと, 以下の対応で5次交代群の3次元既約表現, 正20面体群が生成される.
\begin{align}
(12)(34)\mapsto \frac{1}{2}\begin{pmatrix}
-1&\phi^{-1}&-\phi\\
\phi^{-1}&-\phi&-1\\
-\phi&-1&\phi^{-1}
\end{pmatrix},\
(345)\mapsto \begin{pmatrix}
0&1&0\\
0&0&1\\
1&0&0
\end{pmatrix},\
(23)(45)\mapsto \begin{pmatrix}
-1&0&0\\
0&-1&0\\
0&0&1
\end{pmatrix}.
\end{align}
 これから注目するのは\(r=1/7\)の場合. 3つの解が1の7乗根によって表される.
 まず\tauを1の原始7乗根とする.すなわち,

\begin{align}
    \tau+\tau^2+\tau^3+\tau^4+\tau^5+\tau^6 = 1.
\end{align}

\sigma = \tau+\tau^2+\tau^4とする(1,2,4は7の平方剰余である)と,

\begin{align}
    \sigma^2 &= \tau^2+\tau^4+\tau^8 + 2(\tau^3+\tau^6+\tau^5)\\
             & = \sigma + 2(-\sigma-1)\\
             &=-\sigma -2\\
    \therefore \sigma &= \frac{-1\pm\sqrt{-7}}{2}.
\end{align}

複号は\(+\)のほうをとることにすると,

\begin{align}
    \sigma &= \tau + \tau^2+\tau^4 = \frac{-1+\sqrt{-7}}{2},\\
    \overline{\sigma} &= \tau^6 + \tau^5 + \tau^3 = \frac{-1-\sqrt{-7}}{2}.
\end{align}

いま,

\begin{align}
    \lambda = \frac{\tau^6-\tau}{\sqrt{-7}},\ 
    \mu = \frac{\tau^5-\tau^2}{\sqrt{-7}},\ 
    \nu = \frac{\tau^3-\tau^4}{\sqrt{-7}}
\end{align}

とすると, これらは上の関係を満たす:

\begin{gather}
    \lambda+\mu+ \nu = \frac{\overline{\sigma}-\sigma}{\sqrt{-7}}=-1,\\
    \lambda \mu+\mu \nu + \nu\lambda = 0.
\end{gather}

そして,

\begin{align}
    \lambda \mu \nu = \frac{\overline{\sigma}-\sigma}{\sqrt{-7}^3} = \frac{1}{7}.
\end{align}

 \(r=1/7\)のとき, この\lambda,\mu,\nuが\(t^3+t^2-r=0\)の解となっていることが分かった.

 さて, こんな行列の何が面白いかというと, 今度は

\begin{align}
    A=\begin{pmatrix}
        \lambda & \nu & \mu\\
        \nu & \mu & \lambda\\
        \mu & \lambda & \nu
    \end{pmatrix},\ 
    B=\begin{pmatrix}
        0 & 1 & 0\\
        0 & 0 & 1\\
        1 & 0 & 0
    \end{pmatrix},\ 
    C=\begin{pmatrix}
        \tau & 0 & 0\\
        0 & \tau^2 & 0\\
        0 & 0 & \tau^4
    \end{pmatrix}
\end{align}

によって\(PSL(2,7)\)の3次元既約表現が生成されるのだ[1].

 有限素体上の射影特殊線形群\(PSL(2,p)\)に関する基本的な性質は以下の記事を参照.
小さな非可換単純群 - PSL(2,p) - Shironetsu Blog


3次元既約表現

試み : C^3への作用

 このことはどう理解できるだろう?\(\mathbb{C}^3\)に住む何かに作用していると嬉しい. 計算してみよう.
 まず, \(A,B,C\)の位数はそれぞれ2,3,7である.
\begin{align}
A^2 = B^3 = C^7 ={\bf 1}.
\end{align}
簡単に確認できる関係としては,
\begin{align}
AB^k = B^{2k}A,\ \
BC^k = C^{2k}B,\ \
(BC^k)^3 = {\bf 1},\ \
k\in \mathbb{N}
\end{align}
がある. また, 次の関係を列挙しておく.

\begin{align}
    \tau \lambda + \tau^2 \mu + \tau^4 \nu &= \overline{\sigma}\\
    \tau^2 \lambda + \tau^4 \mu + \tau \nu &= 1\\
    \tau^4 \lambda + \tau \mu + \tau^2 \nu &= 0\\
    \tau \lambda + \tau^4 \mu + \tau^2 \nu &= \sqrt{-7}\,\tau^6 \nu^2 =: \xi\\
    \tau^4 \lambda + \tau^2 \mu + \tau \nu &= \sqrt{-7}\,\tau^5 \lambda^2 =: \eta\\
    \tau^2 \lambda + \tau \mu + \tau^4 \nu &= \sqrt{-7}\,\tau^3 \mu^2 =: \zeta.
\end{align}

これらをつかって次のベクトルへの作用を考えよう.
\begin{align}
u = \left(\!\begin{array}{cc}
1 \\
1 \\
1
\end{array}\!\right).
\end{align}
\(u\)は\(A,B\)の固有ベクトルである. Au = -u,\ \ Bu = u.

 まず,
\begin{gather}
C^2u = BCu,\
C^3u = B^2 \overline{Cu},\\
C^4u = B^2Cu,\
C^5u = B\overline{Cu},
C^6u = \overline{Cu}
\end{gather}
が分かる. 次に,

\begin{align}
    ACu = \left(\!\begin{array}{cc}
         \xi \\
         \eta \\
         \zeta
    \end{array}\!\right)
    =: v
\end{align}

と定義すると,

\begin{align}
    ACv &= 
            \sqrt{-7}\,\left(\!\begin{array}{cc}
                  \lambda \nu^2 + \nu\lambda^2 + \mu^3\\
                 \nu^3 + \lambda^2\mu + \lambda\mu^2 \\
                 \mu\nu^2 + \lambda^3 + \mu^2\nu
            \end{array}
            \!\right)\\
          &=
            \sqrt{-7}\,\left(\!\begin{array}{cc}
                  -2\mu^2-\mu \\
                  -2\nu^2-\nu \\
                  -2\lambda^2-\lambda
            \end{array}
            \!\right)\\
          &=
            -2\left(\!\begin{array}{cc}
                  \tau^4 \zeta \\
                  \tau \xi \\
                  \tau^2 \eta
            \end{array}
            \!\right)
            -\left(\!\begin{array}{cc}
                  \tau^5 \\
                  \tau^3 \\
                  \tau^6
            \end{array}
            \!\right)
            +\left(\!\begin{array}{cc}
                  \tau^2 \\
                  \tau^4 \\
                  \tau
            \end{array}
            \!\right)\\
          &= -2 B^2C v - C^5 u + C^2 u.
\end{align}

 ウーーーン………

 \(A,B,C\)の生成する群が有限なら\(v\)の行き先も当然有限になるので, そのベクトルたちへの作用から何か言えることを期待したもののちょっと計算が煩雑すぎる. 168の真の約数であれば都合がよかったが,どうも168本ありそうだ. それでは勝手なベクトルに作用させるのと変わらない.

 これが正20面体群なら6本のequiangular lines(正20面体の中心を通る対角線)[3]の自己同型群であることが言えて旨味があるのだが. 振り返ってみると, このことは1本の対角線の固定化部分群が5次の2面体群\(D_5\)で, 正20面体群(ここでは5次交代群の3次元既約表現のこと)への埋め込みが不変部分空間をもつことからきていたのだった. 一方\(PSL(2,7)\)の場合, 極大部分群である位数21の非可換群*1の埋め込みとしての表現は既約となってしまう. また, 同じく極大部分群である位数24の非可換群(というのは4次対称群のことでこのことの重要性はあとでまた述べる)もまた既約.

......ということがこの方法の困難の由来だとみている.

 話はそれるがequiangular linesの自己同型群もおもしろそう[4]. 7次元では28本詰め込むことができて, その自己同型群は\(Sp(6,2)\). でかい.

群の表示

 こうなるとこだわらずに群の表示に頼るのが手っ取り早い. 実は一般に\(PSL(2,p)\)(\(p\)は奇素数)は2つの元から生成されて次の表示をもつ[5].
\begin{align}
PSL(2,p)\cong \langle S,T\mid S^p = T^2 = (TS)^3 = (S^2TS^{(p+1)/2}T)^3 = 1\rangle.
\end{align}

PSL(2,p)の生成元

 そもそも, \(PSL(2,p)\)はどのような生成元を持っていたか. いまは一次分数変換とみるのがいい. \(P^1(\mathbb{F}_7) = \mathbb{F}_7\cup\{\infty\}\)上の一次分数変換\(f(x)=(ax+b)/(cx+d)\ (ad-bc=1)\)について, 単純な式変形から次のことが分かる.
\begin{align}
f(x)
= \left\{ \begin{array}{cc}
\displaystyle{\frac{a}{c} + \frac{1}{c^2}\frac{-1}{x+d/c}} & c\neq 0 \\
a^2x+ab & c=0
\end{array}\right..
\end{align}
このことから,

\begin{align}
    f(x) = \left\{ \begin{array}{cc}
         s^{a/c}\,u^{-\log_gc}\,t\,s^{d/c}& c\neq 0 \\
          s^{ab}\,u^{\log_ga} & c=0 
          \end{array}\right.
\end{align}

と表せる. ただし,
\begin{align}
s(x) = x+1,\ \
t(x) = \frac{-1}{x},\ \
u(x) = g^2 x \in PSL(2,p),
\end{align}
\(g\)は\(\mathbb{F}_7^\times\)の生成元で, \(\log\)は離散対数.

 従って\(PSL(2,p)\)は\(s,t,u\)から生成される. ところが実は\(u\)はいらないのだ. つまり\(s,t\)によって表せる. というのも,
\begin{align}
u = s^{-g}\,t\,s^{-1/g}\,t\,s^{-g}\,t
\end{align}
が成り立つため. 結局\(PSL(2,p)\)は\(s,t\)のふたつによって生成される. そしてこの\(s,t\)がそれぞれ群の表示における\(S,T\)に対応する. これを踏まえ, \(p=7\)に限定して3次行列たち\(A,B,C\)を見直す. うえの表示において,
\begin{align}
S \mapsto C^4=:\tilde{S},\ \ T\mapsto A=:\tilde{T}
\end{align}
とするとうまくいくかもしれない. まず, \(\tilde{S}^7 = \tilde{T}^2 = {\bf 1}\)だし,

\begin{align}
    {\rm Tr}(\tilde{T}\tilde{S}) =     \tau^4 \lambda + \tau \mu + \tau^2 \nu = 0 = 1+\omega + \omega^2
\end{align}

(\(\omega\)は1の原始3乗根)が成り立つ.

 根気よく計算すると,

...というのは嘘で数式処理ソフトに任せた. \tauを変数\(x\)に置き換えて\(x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1\)の剰余をとるというやりかた. 拡大体を手軽に扱えたらいいのだけど.

\begin{align}
(\tilde{T}\tilde{S})^3 = (\tilde{S}^2\tilde{T}\tilde{S}^4\tilde{T})^3 = {\bf 1}
\end{align}
が確かめられる. 参考のため書いておくと,

\begin{align}
    \tilde{S}^2\tilde{T}\tilde{S}^4\tilde{T}
    =\frac{1}{7}
     \begin{pmatrix}
        2\tau^5+\tau^4+4\tau^3+4\tau^2 + \tau + 2 
        & -\tau^5+3\tau^3+\tau^2+\tau+3
        & \tau^5+3\tau^4-\tau^3+3\tau^2+\tau\\
        \tau^5+4\tau^4+2\tau^3+2\tau^2+4\tau+1
        & -4\tau^5-2\tau^3-3\tau^2-3\tau-2
        & -3\tau^5-2\tau^4-4\tau^3-2\tau^2-3\tau\\
        4\tau^5 + 2 \tau^4 +\tau^3 + \tau^2 +2\tau + 4
        & -2\tau^5 -\tau^3+2\tau^2+2\tau-1
        & 2\tau^5 -\tau^4 -2\tau^3 -\tau^2 + 2 \tau
     \end{pmatrix}.
\end{align}

あきらかにトレースは0. 期待した通りであった.

 論理を整理すると次のようになる.

  • まず, 行列\(A,C\)によって生成される群\(G\)は, \(S\mapsto C^4, T\mapsto A\)によって, 次の自由群\(F\):

\begin{align}
    \langle S,T\mid S^7 = T^2 = (TS)^3 = (S^2TS^4T)^3 = 1\rangle.
\end{align}

の表現となる.

  • \(F\)は\(PSL(2,7)\)と同型であり, 単純群である.
  • \(G\)は明らかに自明な群ではないため, この表現は忠実である.

 結局, 次の関係:
\begin{align}
\tilde{S}^3T\tilde{S}^5T\tilde{S}^3\tilde{T} = B
\end{align}
から, \(PSL(2,7)\)の表現として,
\begin{align}
\begin{bmatrix}
0 & -1\\
1 & 0
\end{bmatrix}
\mapsto A,\ \
\begin{bmatrix}
4 & 0\\
0 & 2
\end{bmatrix}
\mapsto B, \ \
\begin{bmatrix}
1 & 2\\
0 & 1
\end{bmatrix}
\mapsto C
\end{align}
であったことが分かる. なおここでは角括弧\(\lbrack\rbrack\)で囲った行列は\(\pm\)を同一視する意味で使う.

指標表

 顕な表現と生成元から任意の元を表す方法を得たので指標表は簡単に書ける.

3次元既約表現の指標表
\begin{align}
    \begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
         \mbox{代表元} 
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&0\\
                         0&1
                         \end{bmatrix}}
        & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         0&-1\\
                         1&0
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&-1\\
                         1&0
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&1\\
                         0&1
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&-1\\
                         0&1
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         3&-1\\
                         1&0
                         \end{bmatrix}}
         \\ \hline
         \mbox{位数}
         & 1 & 2 & 3 & 7 & 7 & 4
         \\ \hline
         \sharp\mbox{共役類}
         & 1 & 21 & 56 & 24 & 24 & 42
         \\ \hline
         \mbox{指標}
         & 3 & -1 & 0 & \sigma & \overline{\sigma} & 1\\ \hline
    \end{array}
\end{align}

 指標の2乗和について,

\begin{align}
    1\cdot 3^2 + 21 \cdot(-1)^2+56\cdot 0^2 + 24\cdot\sigma^2 24\cdot\overline{\sigma}^2 + 42\cdot 1^2
    = 168
\end{align}

から, 既約. さらに, \sigma虚数なのでこの複素共役表現は同値でない3次元既約表現.

 あまりすっきりしない. 群の表示から同型を示す方法は強力だが幾何学的ではない. しかも肝心なところで数式処理ソフトに頼らなくてはならないほど計算が複雑になってしまった.

クラインの4次曲線

 故意に無視した事実. この3次元表現は以下の式で表される\(P^2(\mathbb{C})\)上のクラインの4次曲線の自己同型群である.
\begin{align}
xy^3+yz^3+zx^3=0
\end{align}
この曲面は種数\(g=3\)で, フルヴィッツの定理により決まるリーマン面の自己同型群の位数の上限 (Hurwitz bound) \(84(g-1)=168\)を実現する, ということが起こっているらしい[6-8]. 幾何学的な本質はここにあるのだろう.


8次元既約表現

 ここまで考えてきたふたつの互いに共役な3次元既約表現は, \(SU(3)\)の部分群として実現されていた. 従って\(SU(3)\)の随伴表現として8次元表現が構成される.

 具体的な計算方法はValentiner群について調べた記事を参照. ここでは構成できることに言及するにとどめる.
ヴァレンティナー群と6次交代群の8次元表現 - Shironetsu Blog

 指標表の計算は簡単で, ふたつの互いに共役な3次元既約表現の積から1引けばよい.

8次元既約表現の指標表
\begin{align}
    \begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
         \mbox{代表元} 
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&0\\
                         0&1
                         \end{bmatrix}}
        & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         0&-1\\
                         1&0
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&-1\\
                         1&0
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&1\\
                         0&1
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         1&-1\\
                         0&1
                         \end{bmatrix}}
         & \displaystyle{\begin{bmatrix}
                         3&-1\\
                         1&0
                         \end{bmatrix}}
         \\ \hline
         \mbox{位数}
         & 1 & 2 & 3 & 7 & 7 & 4
         \\ \hline
         \sharp\mbox{共役類}
         & 1 & 21 & 56 & 24 & 24 & 42
         \\ \hline
         \mbox{指標}
         & 8 & 0 & -1 & 1 & 1 & 0\\ \hline
    \end{array}
\end{align}

 これを見て気になることがある. 指標がすべて-1以上の整数. まるで9次対称群の8次元既約表現(\(A_8\)型ルート系のワイル群として実現)への既約な埋め込みを持つかのように見える. 指標+1=固定点の数となることと位数に整合するように置換の型を考えると次のようにそれぞれ対応付けられる.
\begin{align}
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|} \hline
\mbox{位数}
& 1 & 2 & 3 & 7 & 7 & 4
\\ \hline
\mbox{指標+1}
& 9 & 1 & 0 & 2 & 2 & 1\\ \hline
\mbox{置換の型?}
& 1^9 & 1\ 2^4 & 3^3 & 1^2\ 7 & 1^2\ 7 & 1\ 4^2\\ \hline
\end{array}
\end{align}
 しかし9点への推移的な作用は持たない. これを偶然と片付けるかどうするか.

6,7次元既約表現

残るふたつの非自明な既約表現は6,7次元である. それぞれ7,8次対称群への埋め込みから構成できる. 以前の記事でも述べた通り, 「7次対称群への埋め込みを持つ」という特殊性がこの群を一層興味深いものとしている. 詳細は次の記事にまわす.

まとめ

 \(PSL(2,7)\)は3次元既約表現をもつ. このことを, ある形を持った位数2の行列\(A\)が, \(SL(3,\mathbb{C})\)の有限部分群によく現れる*2, という事実に注目して調べ始めた.
 \(\mathbb{C}^3\)への作用を素朴に調べる方法はあまりうまくいかなかったが, 群の表示から確かに\(A,B,C\)が\(PSL(2,7)\)を生成することを見た.

リファレンス

[1] Klein, F.,Über dir Transformation siebenter Ordnung der elliptischen Funktionen, Math. Annalen 14, 1869, 13-75.
 英訳[2]あり. On the Order-Seven Transformation of Elliptic Functions (translated by Silvio Levy)

[2] Levy, Silvio, ed. The eightfold way: the beauty of Klein's quartic curve. Vol. 35. Cambridge university Press, 2001.
http://library.msri.org/books/Book35/

[3] Equiangular lines - Wikipedia

[4] Lemmens, Petrus WH, Johan J. Seidel, and J. A. Green. "Equiangular lines." Geometry and Combinatorics. Academic Press, 1991, 127-145.
Equiangular lines - ScienceDirect

[5] Behr, Helmut, and Jens Mennicke. "A presentation of the groups PSL (2, p)." Canadian Journal of Mathematics 20 , 1968, 1432-1438.
A Presentation of the Groups PSL(2, p) | Canadian Journal of Mathematics | Cambridge Core

[6] John Baez, 2013 Klein's Quartic Curve

[7]Greg Egan, "Klein’s Quartic Curve" ,2005
Klein’s Quartic Curve — Greg Egan

[8] Hurwitz's automorphisms theorem - Wikipedia

*1:位数21の群は同型を除いて2つあって, ひとつは巡回群でもうひとつは非可換.

*2:もちろん位数2の3次正方行列は相似を除いてその中にひとつしかないので, 偶数位数なら必ずこのような行列を含むようにできる. いまは可能な限り「きれいに」(きわめてあいまいだが)表された場合を考える.