球面調和関数で正20面体をつくる(3) - l=28までの表
球面調和関数でサッカーボールをつくる記事のつづき.
shironetsu.hatenadiary.com
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改めて, 「の次の既約表現(次元表現)の, 正20面体群への制限を既約分解したときの恒等表現の基底」を存在すればで表すことにする. は重複度に応じてつけるラベル. 一般には
で表せるが, 前回の記事でそうしたように軸を軸にとると以外の係数はゼロになる. さらに軸を軸にとると,
になる(従ってが奇数のときの係数はゼロ).
そして, 少なくともでは(重複度は1なのでは省く)
と, 既約分数の平方根になる. それらをまとめたのが下表.
その値は次のようにして得た:
(1)同士の積表現がの基底を含まないことからが決定される.
(2)同時に以下の偶数次数の表現が得られる.
(3)の積表現から(奇数次数)の基底が得られる*1
の符号はのほうにつけている. たとえば, の表からで, の表でのの欄に""とあるから,
と読む.
の表
の表
せっかくなので球面調和関数の重ね合わせとして視覚化しておく.
表を観察して気になること.
まずこの範囲では2,3,5しか因数に持たない. 理由が分からない.
の因数も小さい素数ばかり並んでいる. 今の構成法ではこれは自明ではない. 単に直和分解するだけなら, 3j記号の閉じた形を考えると大きな素数は出てこないが, 今は規格化も含んでいるため.つまり和がである. たとえば,の欄から
が分かる*2. 大げさかもしれないが数論的にはどう解釈すべきなのだろう.
以前の記事で見た限り, 軸を軸にとってもおそらく同じように係数は有理数の平方根になり, 分母の因数は2を多く含むと予想される. 軸を軸, 軸を軸にとるとそれはになるだろう(要検証).
そして重複度が2以上になったときの基底の効率的な決定が分からない. 一応すでにどうしの合成からの基底のひとつが得られているが, 280485761という大きな素数が突然現れた. 直交する基底を自然に取り出す方法があってほしい.
今の構成法は正20面体群対称な球面上の関数が積と和について閉じることを利用している. 積としての作用が球面調和関数を基底とする空間上の線形変換になり, 欠ける次数(がそれを特徴づけている.適切な解釈が分からない.
(2/21追記)
せっかくなのでのテンソル積から得られるのA基底のひとつも書いておく. ではA表現の重複度は2になるため, 最初の取り決めに従えば2つの空間を分けるラベルがいるがここでは無視する.
球面調和関数
もう一つの基底と重ね合わせて振動させたい.